フレットについて

今日はフレットのケアについて書いていきたいと思います。


本格的な夏場も過ぎたと思うので、先日弦交換をしました。季節問わずではありますが、とくに夏真っ盛りを過ぎたフレットはわりとわかりやすくくもっているものが多いと思います。酸化でフレットがくすんでくるとヴィブラートの時に嫌な擦れ感があったり、音の立ち上がりが寝ぼけてきたりと、いいことがありません。


この状態を改善するべくはフレット磨き、です。


フレットは金属ですので、金属を研磨する成分が入った中身も容器も歯磨き粉的なルックスのモノを使用します。私は FERNANDES SCRATCH MENDER 946、という製品を使用しています。私に限らず、多くの方がこの製品を使用していると思いますが、超微粒子の特殊研磨材、と記載されているところがなんとなくなポイントな気がします。工業的な本格的研磨材では削れ過ぎちゃうんじゃないか?ということで楽器店で手に入るこの製品を昔から使用しております。


使用する際は研磨ゆえに、指板をマスキングテープで保護します。この保護を怠ると木部もソフトに削れていくほか、メイプル指板のもの、特に塗装が薄い、塗装されていないものは指板が黒くなってしまいます。ローズウッド指板でも木目に沿って研磨材そのものが入り込んでしまったりといいことがありません。研磨材はほんの少量でキレイになります。はみ出るほどはつけ過ぎなので限りなく少量から試してください。


フレット研磨時は研磨材をつけたクロスなど、絶望的に黒くなりますので、着なくなった Tシャツ、使わなくなったクロスなどを小さめに切って使い捨てで行うと良いと思います。

フレット全面にマスキングして行う方の方が多いように思いますが、わりとマスキングテープはタフなので私は楽器一本につき、2きれ、使っても 4きれで行っています。

上記、図のようにマスキングテープをフレットの両サイドに密着させて貼ってからフレットを磨きます。マスキングテープは念のため、一度自分の肌に貼って全力の粘着力を避けるようにしています。一本終わればそのマスキングテープを次のフレットへ同じように貼って、を繰り返して最終フレットまで一本一本磨きあげます。


フレットを磨いていると早い段階であっという間に布が黒くなります。そこで繰り返しても真っ黒いままですので、徐々に布の面を少しずつずらしていき、黒さが布につかなくなれば終了としています。この頃にはピカピカです。

研磨材で擦るので徐々にマスキングテープもフレットのフチ側が薄くなってきます。実際、こすれるのは上記図のオレンジ色の部分、テープの半分くらいですので、薄くなってきたら上記図中央のように、テープの上下を入れ替えます。こうすることでさほど強力にくすんでいなければマスキングテープ 2きれほどで楽器一本、仕上げることができます。


全面に貼って磨いていった方が作業時間的には短縮されるとは思いますが、なるべく粘着質なモノは木材に長時間触れていない方がいいのではないか?という考えからこの方法をとっています。幼少期に見た、もったいないおばけ精神も多少は影響あるのかもしれません。


FERNANDES SCRATCH MENDER 946 は金属の研磨材ですので、金属のブリッジやペグなど、パーツ類にも有効です。ただしパーツのカラーはニッケル、クロームに限ります。ゴールドパーツはダメです。ゴールドが禿げてしまいます。


こんな感じです。おつきあい、ありがとうございました。



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