REPAIR FILE #3
例によって作業中の画像はほとんどありませんが、フルアコの電装系交換を行いました。
パーツは CTS A 500KΩ ポットを 4つ、コンデンサーは Vintage Clone Parts の The Cap を 2つ、配線材はデッドストックの Vintage braided wire を使用。この Vintage braided wire はいわゆるメタルワイヤーですが、現行品は一束 3本編みで編み込みされておりますが、Vintage モノは一束 2本編みのワイヤーで編み込みされております。Gibson Burst Bucker などはきちんとこの一束 2本編みのモノが使われていたりしてグッときます。注意深く見ないとわからない部分ですが、こだわりポイントとしてとても重要です。トグルスイッチとジャックは switchcraft、ハンダは KESTER #44 を使用しています。
中国製や最近多いインドネシア製のモノは CTS ポット、switchcraft ジャックなどのインチ規格モノはそのまま入らないモノがほとんどです。今回の Epiphone ES-175 PREMIUM はトグルスイッチの穴以外、そのまま入りませんでしたので穴を広げる加工が必要になります。均等に穴を広げる工具、リーマーを使用してボディに開いた穴を広げていきます。リーマーとはマシンロボ (※ 1) で言うところのドリルロボの頭をシャープにし、刃を縦にいれたモノ、をイメージしていただけるとだいたいそれです。いきなりガリガリ押し込んでやると塗装が割れて広がりますのでご自身で加工される際は特に気をつけてください。パーツが収まるかを合わせながらほぼジャストになるようにリーマー加工を繰り返します。
ボディ厚やポットの取り付け方法によって使用するパーツが異なる場合があります。ちょっと首が長い仕様の CTS ポットの Long、switchcraft ジャックの #11L など、楽器に合わせたセレクトが必要です。ボディ加工後は使用パーツを設置位置に収めてみて充分なナットの締め込み幅があるかどうかの確認をおすすめします。
続いてアッセンブリー。今回のフルアコの場合はブリッジからのアース線を一本ハンダで外せばすべてそのまま引き出すことができます。電装系交換では難易度の高めなハコモノですが、これはかなり楽です。リアピックアップをエスカッションごと外した部分から取り出す前にボディのフチにマスキングテープを貼ってキズがつかないようにしておきます。
注意深く引き出してみると、ピックアップがコネクター式でした。なんとハイブリッド。ピックアップ裏からの情報でフロントは 57 Classic、リアは 57 Classic +、この配線は現行レギュラー Gibson の基盤仕様向けになっているようです。メーカースペックには両方 57 Classic としか書いてません。リアは 57 Classic PLUS ?...。
上の画像が元々のアッセンブリー、コネクターからピックアップは外した状態です。
続いてボディ側。事前に A4 程度の紙をボディにあてて穴の位置関係を写し、それを段ボールにあてリーマーで穴を開けます。その段ボールを裏返して開いた穴にポットのシャフトをはめていくと簡易的なジグができます。段ボールは折り曲げて飛び出るシャフト分の高さを稼いであげるととてもやりやすいジグになってくれます。
ついでにジグに F ホールも書いておくと中の線が見える、見えないの確認もできます。が、キレイに配線すると配線材は自然と見えなくなりますので私は書いておりません。
その後、取り付けるパーツの設置時に自然に流れるようにパーツの向きを合わせて配線していきます。今回はヒストリックコレクションと同様の配線方法にしています。Vintage braided wire はトグルスイッチの手前でスズメッキ線でまとめます。このスズメッキ線は意外にも楽器店経由のパーツ問屋さんにはなく、だいぶ前にボードの資材を探してウロウロしている時に VIVA HOME 豊平店で発見しました。ウロウロしてみるものです。
完成後、本体に収めていきます。ここがなかなか大変です。そもそもソリッドギターの場合は収めた状態で作業するものも多いのでハコモノ独自の工程になります。
下の画像が今回製作したアッセンブリーです。キレイに配置時のように並べて撮ればよかったと悔やまれますが、作業中は記事にするという頭がなかったのであくまで確認用程度になっています...。
フルアコは中が空洞ですので大きい穴、リアピックアップの穴からこの完成したアッセンブリーを入れていきます。この時、キズがつかないようにボディにはクロス、フチには取り出し時に貼ったマスキングテープに問題がないか確認しておきます。
フルアコは内部にそこそこ高さがあるのでボディ内部にもキズがつかないように、最初のパーツ類は極めてゆっくり下ろしていきます。ひとつ無事に着地すればあとはするすると這うように中に流していきます。
設置パーツの順番はややこしい部分の遠いところから収める、がポイントです。今回の場合はトグルスイッチは上側ですのでジャックからです。設置には私はゴムのチューブを使用します。おそらく、ですが病院で注射する前に腕にきつめに巻かれるアレです。これは SUPER VIVA HOME 手稲店を徘徊している時に偶然発見しました。徘徊してみるものです。
ボディの外側のジャック穴からゴムチューブを通し、ボディ内部からジャックを F ホールから出してトゥースワッシャーをかまし、ボディ内部からのゴムチューブをジャックに入れます。ゴムチューブの径が絶妙のため、実はここがもっとも苦労する点です。私の場合は。
ある程度プラグインするまで押し込めたらそっとボディ内部に戻し、ゴムチューブをくいくい引きます。ここでプラグインが未熟だと中の少しの抵抗であっさり抜けてしまいます。無事、ジャックの先端が外の世界に顔を出したら逆側のゴムチューブの端からワッシャーとナットを通してジャックに取り付けです。
この工程をリアのボリューム、リアのトーン、フロントのトーン、フロントのボリュームの順に繰り返します。ポット類は同じくトゥースワッシャーを通した後にゴムチューブをシャフトにかぶせるだけなので簡単です。1個ずつ固定していくとうまくハマらない場合もあるので私はボリュームとトーンをチューブで引き出して 2個セットで固定しています。
その後、トグルスイッチも同様に収めてピックアップを元の位置に収めエスカッションのビスをとめて完成、となります。
こっそり中を覗くと Vintage Clone Parts The Cap が見える位置でハンダづけしているのもポイントです。こだわる部分を書いていくと予想以上に長くなってしまいましたが、これでもかなり削っています。
本日でホームページ開設から 5ヶ月が経過しました。早いです。
みなさま、本当にいつもありがとうございます。
本日も最後までおつきあいいただき、本当にありがとうございました。
※ 1 : マシンロボとは私が幼い頃好きだった玩具です。ドリルロボの他にサブマリンロボも好きでした。サブマリンロボはシリーズナンバーが MR-33 だったと記憶しており、ネットで調べたら本当に MR-33 でした。デカいマシンロボの 3体セットで一番好きだった中間サイズの青いのを手に朝に放送されていたアニメも観ていましたがそれがなかなか出てこなくて悶々としたものです。
0コメント