木材について 1
今回は実際に経験してきたことから、私の思うことを記事にしてみます。
多くのギターやベースの調整をさせていただいておりますが、簡単には調整のできない部分が狂っているものに出くわすこともあります。話を聞いて共通していることは、長年弾いていないもの、であることが多いです。
弦楽器は演奏、弾くことで弦振動が起こり、その振動をボディに伝えることで鳴ってくれます。弦鳴り、ボディ鳴り、この鳴りがどちらかだけでなく、どちらもバランス良く鳴ってくれている楽器は弾いていて気持ち良く、高価な場合が多いです。
定期的に弦振動を受けることで楽器は自らを私は楽器である、と認識してくれて良い状態をキープしてくれるのではないか、と思ってます。常時弾かれてる楽器は季節の変わりめや環境の変化でネックの反りは起こるものの、微調整ですむことが多いです。なんでここが?という狂いは比較的少ないものです。鳴りの状態も実際に弾きこまれた楽器にかなうものはないと思ってます。例外で新品でもとんでもないものに出逢うこともありますが、ごく稀です。
反対に長期間、弦振動を受けられないことで楽器は自らを私は木であった、と思い出してその頃の状態に戻ろうとして通常狂わないようなところが狂うのではないか、と思ってます。その昔、楽器は 1日 5分でも 10分でも弾いてあげることが最大のメンテナンスである、と教わりました。詳細を事細かに聞くことは当時しませんでしたが、こういうことなんじゃないかと今になって思います。毎日触れていれば少しの変化にも気づく、ということもあるかと思います。
と、ここまで書いてきましたがどういうわけか放置してよくなった例もあります。
よりによって私のアコースティックがそれですが、買った時からブリッジ下部が膨らんでおり弦高が常時高い状態でした。お腹が出る、と呼ばれる状態でチューニングされたまま放置されるとこうなることが多いのですが、4年ほど緩めたまま放置したところ、ある日ボディトップがフラットに戻っていました。激しく弾きやすくなりましたが、寝ぼけた音になってしまっていたのでナット、サドルを交換して再び弾きこみ現在に至ります。何が起こるかわからないという実体験を交えたなんともな内容になってしまいました。
が、楽器は自然の木から弾いてもらうカタチに生まれ変わったものだと思いますので、やはり弾いてあげることが一番だと思います。
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