ポリッシュ、レモンオイルについて

こちらもよくご質問いただいてきたものです。

ポリッシュ、レモンオイル、その違いについて書いていこうと思います。


ポリッシュは楽器の塗装面に使用します。乾拭きだけでは落としきれない汚れを落とす時、磨きあげてツヤを出したい時に使用します。さほど汚れがない時は乾拭きだけで大丈夫です。

使用できる部分は塗装にツヤのあるグロス塗装部分に限ります。主にボディ、またはボディと同じ色が塗られているネック裏やヘッド、ヘッドの突き板部分に使用します。ツヤ消しのマット塗装には使用できません。マット塗装は乾拭きのみです。息をはきかけてすかさず乾拭きするのみです。


塗装にはポリウレタン塗装、ポリエステル塗装、ラッカー塗装など、種類があります。

必ず、ポリッシュに記載されている使用可能な塗装を確認してから使用してください。

お持ちの楽器の塗装の種類がわからない場合はメーカーサイトに記載されております。項目は英語の場合、FINISH、種類は Polyurethane、Lacquer など、記載があります。

ラッカー塗装対応のポリッシュでもラッカーが経年変化で塗装がとんでしまっているものは注意が必要です。ポリッシュの多くは目立たないところで試してから使用してください、と記載されているものが多いです。そのまんまです。


綺麗に磨きあげるにはコツがあります。ポリッシュの多くはスプレー式になっておりますのでクロスにスプレーしてボディ全体になじませるようにひととおり拭き、ポリッシュの水分が塗装表面に見えなくなったらクロスの面を変えて乾いた部分で再び全体を拭きあげます。この時、クロスとボディの摩擦で熱が起きないようにゆっくり過ぎず、早過ぎず、力も入れ過ぎず、抜き過ぎずで拭いていきます。摩擦熱で車のワックスと同様、白い跡になることがあります。


厚目のポリウレタン塗装にはボディに直接スプレーもできますが、塗装の状態によっては吹きつけた丸い跡やしぶきがそのまま残ってしまうこともあります。その跡を消して綺麗になじませるのには時間がかかりますのでクロスに吹いた方が良いと思います。


経験上、特に注意が必要なのは Rickenbacker のカラーが Jetglo のものです。

ラッカー塗装対応のポリッシュでも危険です。Jetglo はすべて乾拭きがおすすめです。



レモンオイルは楽器の指板やアコースティックギターのブリッジ部分に使用します。

主にレモンオイルを使用するのはローズウッド材とエボニー材のものです。ローズウッドやエボニーは乾燥が進んでくると白っぽくなってきます。北海道の秋冬、空気が乾燥する季節のエボニーには特に注意が必要です。ヒビが入ってあっさり割れてしまいます。乾燥による割れを防ぐのに一躍かってくれるのがレモンオイル、オレンジオイルの類です。オイルをいれると木材がややしっとり、ややしなやかになるので弾き心地にも影響してきます。


オイルをいれる時にもコツがあります。布で拭いていくようにいれていく場合はオイルの匂いが比較的強いものが多いので、使わなくなったクロスなど、小さく切って使い捨てにするのがいいと思いますが、一番いい方法は指でオイルを指板にすりこんでいくようにします。オイルを出し過ぎて指板の横から滴り落ちることもなく、指板への浸透具合が指先の感覚でわかるのでいれ過ぎて溢れることもありません。場合によっては愛着も湧いてきます。


メイプル指板のものには塗装がのっていることが多いので基本的に乾拭きで問題ありません。汚れがひどい時は極少量のオイルで綺麗になります。レモンオイルはシール剥がしにも使用できますが、匂いがなかなかです。別の布などでよく拭かないと厳しいです。塗装のないメイプル指板、メイプルネックはマット塗装同様に乾拭きのみです。


経験上、特に注意が必要なのは Rickenbacker 社のものです。

指板はローズウッドでも容赦なく塗装がのっています。オイルの入る余地はありません。

Rickenbacker 製品をお持ちの方は乾拭きがおすすめです。




ポリッシュ、レモンオイルはシャンプーとボディソープみたいなものです。

どちらも綺麗にはなりますが、使う場所を誤るといい結果になりません。

補足です。

ラッカー塗装のものはゴム製品と化学反応を起こしてしまいます。スタンド類の多くはゴム製品のため、ラッカー対応スタンドを使用する、または楽器があたるゴム部分に布などを巻くなどの対処をしなければ溶けてくっついてしまいます。シールドもゴムのものがほとんどですのでボディに触れっぱなしは危険です。クリップチューナーなどもクリップ内側はゴムのものが多いのでつけっぱなしは危険です。


経験上、特に注意が必要なのはやはり Rickenbacker 社のものです。スタンド類はラッカー対応のものでも危険、クリップチューナーを使用する際はヘッドにクロスをはさめてチューナーをはさめることで対処できますが、短時間でも跡が残る場合があります。夏場は特に危険です。自ら収まっている純正ハードケースと反応を起こすこともあります。そんなマヌケなところも好きです。


Rickenbacker 620 Jetglo 愛用者によるブログでした。






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