温度と湿度について
この時期になると湿度調整剤を探しているのですが? と聞かれることがよくあります。
温度変化、湿度変化は楽器のコンディションに関わる部分ですので、ケースに湿度調整剤を入れる方が多いですが、現状の環境の湿度を聞いてみると湿度計、持っていませんとお答えいただくことも多いです。
まずは現状の環境の温度、湿度を知ることが大切だと思います。
楽器に適した湿度は 50 〜 60% が適していると言われております。
では、まず湿度の変化について。
湿度が高い環境、常時 70% 以上の湿度がある場合、弦が錆びやすくなったり、パーツがくすみやすかったりと金属パーツ類にわかりやすく影響が出てきます。それ以上高い場合、キャビティ内のパーツ類にも錆びがきたり、青カビのようなものが生えたりすることもあります。こまめな換気、部屋に置く乾燥剤での調整、あまりに高い場合は保管する部屋を変えるなどした方がいいかもしれません。逆反りの原因にもなります。
北海道では秋冬のストーブを焚く時など、温風が舞うような部屋では湿度が 10% 前後、0% に近くなることもあります。この状態が続くとネックから水分が抜けて木が痩せてしまうため、バリ、と呼ばれるフレットの端が飛び出してきて最悪の場合、怪我につながることもあります。エボニー材を使用した指板やブリッジは割れることも珍しくありません。アコースティックギターでは最悪の場合ボディのトップ、バックが割れることもあります。単板のものは特に注意が必要です。順反りの原因にもなります。
加湿器を置くことで湿度を上げることはできますが、楽器には近づけないように、あくまで部屋、環境を潤す場所に置きます。湿度調整剤もケースに入れる時は楽器に直接触れない場所、ポケット部分などにいれます。
より良い環境を求める場合、温度変化、湿度変化の幅がどれほどなのか知る目安として。どちらも変化の多い環境はチューニングが安定しません。朝にチューニングをしておいてそのまま触れずに、夜にチューニングを確認してみてください。温度や湿度の変化が少ない環境では微調整ですみますが、1音近く上がってたり下がってたりする場合は、結構寒暖差のある環境ということがわかります。
これは私の経験上ですが、暖かいなら暖かい、寒いなら寒いでほぼ一定の温度を保っている部屋の方が楽器のコンディションの変化は起きにくいように思います。慣れてくるのだと思います。温度変化の影響は塗装面にもあらわれます。冬にあまりの寒さでストーブの部屋に持って行って練習した後、再び寒い部屋に戻した翌日、ボディ裏に見事なクラックがびっしり入っていたことがあります。ストーブの部屋の環境に加えて、身体が触れて特に温度が上がった部分に寒い部屋に戻った時の急激な変化で入ったのだと思われます。薄いラッカー塗装の場合は簡単に起こります。私はクラックウェルカム派ですが、冬場のスタジオ練習時など、気にされる方は注意してください。
温度計と湿度計が一緒になっているものもあります。この絵は私のを参考にして描きました。けっこう昔のものですが無印良品のケースがゴム製のタイプです。
楽器のコンディションが急激に悪くなる要因として、朝昼は暖かく、夜は寒い、温度変化が激しい環境、湿度も短期間で目まぐるしく変わってしまう環境では特に起こりやすくなります。
人間と同じです。温度変化が激しいと体調を崩したり、乾燥時期にはあかぎれが起きたりと、その時々で身体に変化があると思います。楽器は現在の状況に対してヤバい、キツい、と話しかけてきて教えてくれるわけではないので、状態の変化でアピールしてくるのだと思います。環境に少しだけ気をつけて、少しのケアを怠らなければいい状態はキープできます。
これから夏場ですが、タブーは駐車してる車内に放置、です。絶対に避けましょう。
本日でホームページ公開から早いもので1ヶ月がたちました。
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