弦について 2

今日は弦の交換方法について心がけていることを記事にしたいと思います。

弦交換時期の目安などについては以前の記事をご参照いただけると幸いです。



弦交換、私が主に扱っているギターやベースは弦楽器ですので『弦』は演奏時に指が触れる部分であり、音質面、演奏面、ピッチ面、すべてにおいてもっとも重要な部分であると思っております。


各メーカー様々な弦が発売されておりますが、それぞれ特徴があると思います。

アコースティックギター弦については大きく分けて 2 種類あるということを以前に記事にしておりますので、ご興味のある方はこちらもご参照いただけると幸いです。



今回はエレキ弦と張り方について少々、です。ざっくり大きく分けると一般的な通常の弦に加えてエレキ、アコースティックに限らずですが、コーティング弦というサビにくい加工がされている弦があります。他にも素材が違ったりと様々ですが、大きく分けるとこの 2 つに分類できると思います。


サビにくいのならコーティング弦の方が良いのではないか?となりますが、楽器関連はほとんどのモノや機材が演奏者の好みによる部分が大きく、一概にこれがベストというモノがなく、その人にとってのベスト、が大半を占めているように思います。


各メーカーそれぞれに特徴がありますし、当然タッチもテンションも音色もピッチの安定性にも違いが出てきます。そしてその点を生かすも殺すも私は張り方にあると思っております。

いくらいい弦を張っても張り方が適当では弦本来のポテンシャルのすべてを引き出すことはできません。


張り方の基本として、まず巻癖をとる、です。この作業は張った後のピッチの安定性に関係してくる部分です。乾いたきれいな手でパッケージから出してほどいた後の弦を指でつまみ、その状態でボールエンドから先端までスーっと指を滑らせて梱包時の癖をとるように何度か行います。あまり速い速度でスーッとすると火傷しますので注意が必要です。


張った後には弦を伸ばす作業時にストリングストレッチャという製品を使用しておりますが、これがまた優れもので巻癖が充分にとれていない場合、ストレッチャを滑らせている時には弦がブレる感覚が伝わってきます。巻癖が取れたと思っていても弦メーカーによって巻癖の取れやすい、取れにくいという違いがあり、繰り返すことで学んでいけます。ブレるということは振動の妨げになる、振動の妨げになるということはサスティーンに多少なりとも影響が出る、といいことはありません。


続いてポストに密着させてきれいに常にテンションをかけて巻きつける、という作業は共通ですが、楽器の状態と演奏者のお好みによって張り方、張る巻き数を変えて微調整しているので文章でうまく説明することができません。お好みを聞いて調整している感じです。張った直後はラフチューニングし、ストリングストレッチャで各弦を伸ばして徐々にジャストのチューニングにしていきます。ストリングストレッチャがない場合はチューニング後にまずスケールの中心である 12F でつまみ数回上に伸ばす、再びチューニング後に 5F 近辺をつまみ伸ばす、再びチューニング後に 17F 近辺で伸ばす、を繰り返して安定させています。

 



先日、いつもと違う弦を張ってどうやってもオクターブがおかしくなってしまう状態のモノに出くわしました。その後、レコーディング直前の弦交換時にその弦の発売以来、一度はすべての方におすすめさせていただいていてきた弦に交換させていただいたところ、オクターブ調整があっさりと本来の調整幅の位置でまったく問題なく合うというケースがありました。それほど楽器の状態をベストに保つという点に密接に関係している部分でもあります。


弦メーカーが変われば同じゲージ、同じポストの巻き数でもテンション感が変わりますのでゲージを変えた時はもちろんですが、同じゲージでも違うメーカーの弦にした時はオクターブ調整は必ずチェックした方が良いです。


通常弦、コーティング弦についてですが、私は普段使用する楽器にはコーティング弦ではない通常弦を使用しておりますが、あまり弾かなくなってしまった楽器にはコーティング弦を張っているモノもあります。たまに弾いてみようと出した時にサビていたら本当に弾かなくなってしまうのでこのような方法も有効かと思います。その楽器の音が必要な時は通常弦に張り替えて再調整して使用するようにしています。




弦交換は今現在、もっとも件数の多いものですがご依頼主様にとってのベストの状態を毎回同じように感じていただけるように張らせていただいております。

コーヒー屋さんに行く度、同じ注文をしても毎回味が違うとお客さんも離れていってしまうと思います。そんな感じです。

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